PMPS・術創ケア・3

左から施術前、鍼灸施術後、簡単な重心補正後の順です。 首が前に出て、前重心だったのが、最終的には背骨に頭が乗り重心も改善して姿勢がきれいになっています。

 

 

前回、数年たってから傷の影響が出るお話をしたので、実際の症例をご紹介します。

先日来院された30代の初診の方の例です。右肩の長引く痛みが主訴です。湿布薬でかぶれも出ていました。

まず問診を進める中で、約3年前に右側の乳房切除とリンパ節郭清をされていることが分かりました。
ご本人は、その事と肩の痛みを結び付けていませんでしたが、私はすぐにPMPS(乳房切除後疼痛症候群)との関連性を念頭に置きました。

その後、出産されて職場復帰されるのですが、なんと!お子さんをおんぶしてトリマーのお仕事をしたという事でした。
私は、かなり大きな負担が重なったと推測しました。

お子さん(重量がありますよね!)を背負って、前かがみになるお仕事です。
妊娠・出産は病気ではありませんが、女性の身体を大きく消耗させるものですし、その前に大病をしているわけです。
身体の負担と消耗は激しかったと思います。


では、画像をご覧ください。
まず、姿勢のチェックですが首が前に出ていて重心も前重心です。
肩も前方に巻いていますね。

動作痛はバンザイの動作、腕を後方に引く動作で痛みが、もちろん右側の可動制限もあります。
鍼灸施術中は、丁寧に動作痛の変化を見て、改善を確認しながら施術を進めました。

施術中の可動制限と痛みが消失し、基本治療が終了したら起き上がってもう一度動作をみます。痛かったバンザイの動作を確認。
痛みと可動域は改善しました。
しかし、右手のひらに違和感が出るとのことで、ここで乳房切除手術の傷に対するアプローチ(補助治療)をしました。
その後、再確認で手の違和感も消失。
初回の治療はこれで終了です。

患者さんも「傷が関係していたんですね」と意外だったようです。

このように数年経過していても、術創の影響が後から身体に影響を与えることは多々あります。

鍼灸施術で緩めて、さらに重心を正しい位置にする。
そして患者さんもこの重心を持続できるよう、セルフケアすることも大切です。




 

 

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